事故後に後遺症が残ったら、後遺障害の等級認定を受けることで、相手方に対して、後遺症によって生じた損害(逸失利益、後遺障害慰謝料等)を請求できます。しかし、どのように手続を進めればよいのか、ご存じない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、交通事故の後遺障害に関する基礎知識や、後遺障害等級認定を受ける条件・手続・費用について解説します。
交通事故の後遺障害とは?
交通事故の後遺障害とは、治療を継続しても消失せずに残った症状のことであり、自動車損害賠償保障法施行令(以下「自賠法施行令」といいます。)第2条1項2号では「傷害が治ったとき身体に存する障害」と定義されています。例えば、日常生活に支障をきたす痛みやしびれ、顔や首などの目立つ場所に残った傷跡(醜状痕)、関節可動域の制限や、身体の一部損失などが後遺障害の一例です。
国土交通省によると、交通事故死者数は大幅に減少しているものの、介護を要する重度後遺障害者数は横ばいの状況が続いています。事故後に重い障害が残ったら、後遺障害の等級認定を受けましょう。
参考:『自動車事故被害者を対象とした被害者救済対策について』
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/001076371.pdf
後遺障害の認定でお困りの方は、お気軽にご相談ください!
後遺障害と後遺症の違い
一般的には、後遺症も後遺障害も特に区別されることなく同じ意味合いで用いられていると思います。しかし、交通事故の損害賠償実務においては、この2つの用語は区別して用いられており、その違いは、後遺障害の等級認定(後遺障害認定)を受けたかどうかです。後遺障害等級認定手続は、事故後に残った障害の程度に応じて、自賠法施行令第2条別表第1、第2の自賠責後遺障害等級表の中のどの後遺障害等級に該当するかを損害保険料算出機構が審査して行われます。
交通事故の後遺障害とは、自賠法施行令第2条別表第1、第2の自賠責後遺障害等級表のいずれかに該当する後遺症を指しますので、全ての後遺症が後遺障害として認められるわけではありません。
後遺障害の等級認定を受けるために必要な書類
後遺障害の等級認定を申請する場合は、認定機関である損害保険料率算出機構に対して、以下のような書類を提出することが必要です。
- 自動車損害賠償責任保険支払請求書兼支払指図書
- 交通事故証明書
- 事故発生状況報告書
- 診断書
- 診療報酬明細書
- 後遺障害診断書
- XP(レントゲン)画像、CT画像、МRI画像
後遺障害の等級認定手続においては書面主義が採用されており、事故後の障害の程度は原則として提出した書面の内容によってのみ判断されます(傷痕確認のために被害者本人との面談を求められる場合があります。)。そのため、後遺障害の等級認定を受けるには、認定基準を踏まえて書面を作成・準備する必要があります。
後遺障害の等級認定を受けると請求できる慰謝料
後遺障害の等級認定を受けると、後遺症によって生じた逸失利益や、精神的・肉体的な苦痛に対する慰謝料(後遺障害慰謝料)を請求できます。
逸失利益 | 後遺症がなければ将来得られたであろう収入等の利益 |
慰謝料 | 後遺症が残存したことによる精神的・肉体的な苦痛に対する補償 |
参考:『限度額と補償内容』
URL:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jibaiseki/about/payment/index.html
逸失利益や慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級に応じて算定されます。
また、後遺障害慰謝料については、自賠責基準・任意保険基準(保険会社基準)・弁護士基準(裁判基準)の3つのうち、どの基準を用いるかによって、その金額が変わってきます。後遺障害慰謝料を増額したい場合は弁護士に相談し、弁護士基準に基づいて計算してもらうのがよいでしょう。
<h2>後遺障害の等級とは?基準を紹介</h2>
事故後に残存した後遺症は、損害保険料率算出機構による審査の結果、介護を要する後遺障害の1級〜2級、それ以外の後遺障害の1級~14級、等級非該当のいずれかに分類されます。
後遺障害等級認定の結果によって、逸失利益や後遺障害慰謝料、保険金(共済金)の金額が変わりますので、等級認定の結果は重要です。
ここでは後遺障害等級の一覧表や、等級の決め方について解説します。
認定における後遺障害等級表
後遺障害等級は、事故後の症状の内容や程度に応じて区別されています。以下は介護を要する後遺障害と、それ以外の後遺障害の等級一覧表です。(※)
【介護を要する後遺障害】
等級 | 症状 |
---|---|
第1級 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、 常に介護を要するもの胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの |
第2級 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、 随時介護を要するもの胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの |
【それ以外の後遺障害】
等級 | 症状 |
---|---|
第1級 | 両眼が失明したもの咀嚼および言語の機能を廃したもの両上肢をひじ関節以上で失つたもの両上肢の用を全廃したもの両下肢をひざ関節以上で失つたもの両下肢の用を全廃したもの |
第2級 | 一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になつたもの両眼の視力が0.02以下になつたもの両上肢を手関節以上で失つたもの両下肢を足関節以上で失つたもの |
第3級 | 一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になつたもの咀嚼又は言語の機能を廃したもの神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの両手の手指の全部を失つたもの |
第4級 | 両眼の視力が0.06以下になつたもの咀嚼および言語の機能に著しい障害を残すもの両耳の聴力を全く失つたもの一上肢をひじ関節以上で失つたもの一下肢をひざ関節以上で失つたもの両手の手指の全部の用を廃したもの両足をリスフラン関節以上で失つたもの |
第5級 | 一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になつたもの神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの一上肢を手関節以上で失つたもの一下肢を足関節以上で失つたもの一上肢の用を全廃したもの一下肢の用を全廃したもの両足の足指の全部を失つたもの |
第6級 | 両眼の視力が0.1以下になつたもの咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの |
第7級 | 一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になつたもの両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの一手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失つたもの一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの一足をリスフラン関節以上で失つたもの一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの両足の足指の全部の用を廃したもの外貌に著しい醜状を残すもの両側の睾丸を失つたもの |
第8級 | 一眼が失明し、又は一眼の視力が0.02以下になつたもの脊柱に運動障害を残すもの一手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失つたもの一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの一下肢を5センチメートル以上短縮したもの一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの一上肢に偽関節を残すもの一下肢に偽関節を残すもの一足の足指の全部を失つたもの |
第9級 | 両眼の視力が0.6以下になつたもの一眼の視力が0.06以下になつたもの両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの咀嚼および言語の機能に障害を残すもの両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの一耳の聴力を全く失つたもの神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失つたもの一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの一足の足指の全部の用を廃したもの外貌に相当程度の醜状を残すもの生殖器に著しい障害を残すもの |
第10級 | 一眼の視力が0.1以下になつたもの正面を見た場合に複視の症状を残すもの咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの一下肢を3センチメートル以上短縮したもの一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの |
第11級 | 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの一耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの脊柱に変形を残すもの一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失つたもの一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの |
第12級 | 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの一耳の耳殻の大部分を欠損したもの鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの長管骨に変形を残すもの一手のこ指を失つたもの一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの局部に頑固な神経症状を残すもの外貌に醜状を残すもの |
第13級 | 一眼の視力が0.6以下になつたもの正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの一手のこ指の用を廃したもの一手のおや指の指骨の一部を失つたもの一下肢を1センチメートル以上短縮したもの一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの胸腹部臓器の機能に障害を残すもの |
第14級 | 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの一耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの局部に神経症状を残すもの |
参考:『限度額と補償内容』
URL:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jibaiseki/about/payment/index.html
等級はどのように決まる?
後遺障害等級は、まず障害のある部位(神経症状、上肢や下肢、目や耳、鼻、口、胸腹部臓器など)を分類し、症状の重さや労働能力に与える影響を考慮して認定されます。また、後遺障害等級の認定にあたって、併合・加重・準用(相当)という3つのルールが適用されます。
併合 | 13級以上の等級の後遺障害が複数認められる場合に、 重い方の後遺障害の等級を繰り上げて認定すること ※14級に該当する後遺障害が複数ある場合には、繰上げはなく、14級と認定されます。 |
加重 | すでに障害があり、事故後に悪化した場合は、その悪化した分のみ賠償対象とすること |
準用(相当) | 等級表に載っていない障害は、その症状の内容が各等級の後遺障害に相当する場合、 当該等級の後遺障害と認定すること |
後遺障害認定を受けるための条件
後遺障害認定を受けるための条件は、大きく分けて5つあります。
- 症状と交通事故の関連性がある
- 症状の一貫性・継続性がある
- 症状に関する医学的な証明がある
- 後遺障害等の等級認定基準を満たしている
- 治療期間が適切である
症状と交通事故の関連性がある
1つ目の条件は、提出した書類によって、現在の症状と交通事故の関連性がしっかりと証明されているかどうかです。
後遺障害の等級認定では、事故の状況を説明する事故発生状況報告書や、事故後の症状を記録した医療記録(医師の診断書など)を参考にして、事故と後遺障害の因果関係が審査されます。症状と交通事故との関連性が認められない場合、後遺障害非該当と判断されてしまいます。
例えば、交通事故に遭ってから相当な時間が経過した後に初めて病院を受診したような場合は、症状と交通事故の関連性が証明しづらくなる傾向にありますので、交通事故で負傷したときは、なるべく速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。
症状の一貫性・継続性がある
2つ目の条件は、症状の継続性が認められるかどうかです。
交通事故の後遺障害は、痛みやしびれなどの症状が一貫して続いており、これ以上治療を継続しても消失しない場合に認められます。この状態を症状固定といいます。
症状の一貫性や継続性がない場合、症状固定を否定されて、後遺障害非該当と判断される可能性があります。
症状に関する医学的な証明がある
3つ目の条件は、症状に関する医学的な証明があるかです。
前述のとおり、後遺障害の等級認定手続においては、書面主義が採用されています。後遺障害に該当又は相当する症状があるかどうかも、提出した書類の内容に基づいて判断されます。
事故後の症状を医学的に証明するため、XP画像(レントゲン写真)やМRI画像、CT画像などの資料を提出しましょう。これらの検査画像は、治療を受けた病院に相談すると、有料でフィルムやデータをコピーしてもらえます。
なお、後遺障害等級表の14級9号については、症状を医学的に説明可能であれば、証明できなくても後遺障害を認定してもらえます。
後遺障害の等級認定基準を満たしている
4つ目の条件は、後遺障害等級の認定基準を満たしているかです。
国土交通省の自賠責保険・共済ポータルサイトには、後遺障害の等級認定基準をまとめた後遺障害等級表が掲載されています(前項で掲載した一覧表と同様のものです)。(※)
後遺障害の等級認定を受けるには、この後遺障害等級表を念頭において、事故後の症状を医師の診断書やレントゲン画像などで証明する必要があります。
参考:『限度額と補償内容』
URL:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jibaiseki/about/payment/index.html
治療期間が適切である
5つ目の条件は、治療期間が妥当であり、治療やリハビリを適切に受けているかどうかです。
後遺障害は、日常生活に支障をきたすほどの症状があり、これ以上治療を続けても変わらない(=症状固定)場合に認められるものです。そのため、治療期間が短い場合やリハビリを適切に行っていない場合、原則として後遺障害の等級認定は認められにくくなります。
※ 失明や四肢の欠損といった障害の有無が明確な場合には、治療期間が短くても後遺障害と認定されます。
さらにいえば、治療期間がいくら長くても、例えば、2か月に1回しか通院しない、通院の頻度が月によって大きく異なるといった場合には、そのことについて合理的な理由がない限り、不規則な通院と判断されて、後遺障害の等級認定は同様に認められにくくなるといえます。
後遺障害の認定基準には曖昧な部分がありますので、どの程度の治療期間が必要かという点は不明瞭ですが、少なくとも、半年以上通院するのがよいでしょう。
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後遺障害の等級認定の申請方法
後遺障害の等級認定は、「損害保険料率算出団体に関する法律」に基づいて設立された損害保険料率算出機構が行っています。損害保険料率算出機構の審査を受けるための手続は、加害者側の任意保険会社が申請する事前認定と、被害者側が自賠責保険会社を通じて申請する被害者請求の2種類に分けることができます。
事前認定
事前認定とは、交通事故の加害者が契約する任意保険会社が、被害者の代わりに後遺障害の認定手続を行う方法です。
事前認定の流れは以下のとおりです。
- 治療を受けた病院で後遺障害診断書の交付を受ける
- 後遺障害診断書を加害者側の任意保険会社に提出する
- 加害者側の任意保険会社が損害保険料率算出機構の審査手続をする
- 後遺障害の等級認定結果が任意保険会社に通知される
事前認定のメリットは、被害者側の事務手続の負担が少ないという点です。基本的に、加害者側の保険会社は、治療費の一括払いという仕組みを採用して、被害者から同意書を取得し、被害者が治療を受けた病院から医療記録の提供を受けているため、上記1、2の手続は不要といえ、被害者の手間を大幅に省くことができます。
しかし、事前認定には以下のようなデメリットもあります。
- 被害者側が認定手続の申請にほとんど関与できないため、どのような資料が提出されているかわからない。
- 被害者にとって有利な資料(主治医の見解を記載した意見書など)を積極的に取得して提出してもらえるとは限らない。
- 任意保険会社に認定手続を委託するため、示談交渉が終了するまで後遺障害の賠償金を受け取れなくなる
被害者請求
被害者請求とは、交通事故の被害者側が自ら認定手続を申請する方法です。被害者が申請に必要な書類を準備し、加害者側の自賠責保険会社に提出します。
被害者請求の流れは以下のとおりです。
- 治療を受けた病院から、後遺障害診断書の交付を受ける
- 損害保険料率算出機構の審査手続に必要な書類(医療記録含む)を準備する
- 必要書類を加害者側の自賠責保険会社に提出する
- 自賠責保険会社が提出書類を元に損害保険料率算出機構の審査手続をする
- 後遺障害認定の結果が自賠責保険会社と被害者本人に通知される
被害者請求のメリットは、被害者側が認定手続に深く関与できるという点です。事前認定と異なり、被害者にとって有利となる資料(医師の意見書等)を積極的に取得して提出できますので、事前後遺障害の等級認定の可能性を高める余地があります。
一方、審査手続に必要な書類を被害者自身で用意しなければなりませんので、相応の手間と専門的な知識が必要になります。そのため、忙しくて時間を確保しにくい方、後遺障害認定に関する知識がない方にとってはハードルが高い方法といえます。
被害者請求を希望する場合は、弁護士に依頼するのが望ましいといえるでしょう。
後遺障害の認定確率を高めるコツ
後遺障害の等級認定が認められる確率は約5%といわれています。後遺障害の認定確率を少しでも高めるため、ここでは3つのコツを紹介します。
- 自覚症状を具体的に記載してもらう
- 必要に応じて有利な資料を取得する
- 弁護士のアドバイスを受ける
自覚症状を具体的に記載してもらう
1つ目のポイントは、通院中から自覚症状を具体的に医師に伝えて、診療録や後遺障害診断書に記載してもらうことです。
後遺障害の等級認定を申請する場合、診療録、後遺障害診断書等の医療記録を提出する必要があり、これらの記録の内容を踏まえて後遺障害の等級認定が行われます。特に、後遺障害診断書の記載内容は極めて重要です。これらの記録に記載された自覚症状の内容は、後遺障害の等級認定において考慮されますので、日常生活への影響を中心として、事故後に感じている症状をしっかりと医師に伝えましょう。
なお、交通事故によって高次脳機能障害の発生が疑われる場合は、上記医療記録以外に、日常生活状況報告書を作成して損害保険料率算出機構に提出することになります。
必要に応じて有利な資料を取得する
2つ目のポイントは、必要に応じて被害者にとって有利になる資料(医師の意見書等)を取得し、損害保険料調査機構に提出することです。特に、後遺障害等級表14級9号の「局部に神経症状を残すもの」(むち打ち等)への該当が予想される場合には、医学的に説明可能であることが求められるため、医師の意見書が役に立ちます。
弁護士のアドバイスを受ける
3つ目のポイントは、弁護士に相談することです。
交通事故に詳しく、後遺障害の等級認定に関するノウハウを持った弁護士なら、審査対策に関する様々なアドバイスを受けることが可能です。例えば、診療録や後遺障害診断書にどのようなことが書かれていれば審査手続で有利になるか、といった事項について的確に助言できます。
後遺障害の等級認定確率を少しでも高めたい方は、弁護士に相談することをおすすめします。
後遺障害の等級認定にかかる費用
後遺障害の認定にかかる費用は、必要書類を自分で用意する場合と、弁護士に依頼する場合で変わってきます。ここでは、それぞれのケースの費用相場を紹介します。
後遺障害の等級認定にかかる費用相場
後遺障害の等級認定に必要な書類を自分で用意する場合は、診断書や診療報酬明細書、レントゲン画像などの検査画像、後遺障害診断書の取得費用を負担する必要があります。各書類の取得費用の目安は以下のとおりです。
必要書類 | 取得費用 |
---|---|
診断書・診療報酬明細書 | 3,000円~10,000円程度分量によって、また、病院ごとに異なります。 |
レントゲン画像などの検査画像 | 1枚につき500円~3,000円程度 |
後遺障害診断書 | 5,000円~10,000円程度 |
弁護士に依頼するときの費用相場
仕事や子育てなどで忙しく、時間を確保しにくい場合は、加害者の保険会社とのやり取りも含め、後遺障害の等級認定手続を弁護士に一任することも可能です。
弁護士に依頼する場合は、相談料や着手金、報酬金、書類作成に必要な手数料など、弁護士費用の支払いが必要になります。実際の費用は依頼する弁護士事務所によって異なります。
まとめ
交通事故で障害が残ったら、後遺障害の等級認定手続の申請を行いましょう。後遺障害の等級認定が認められると、後遺障害等級に応じた逸失利益や後遺障害慰謝料を請求できます。後遺障害の等級認定を申請するには、診断書や診療報酬明細書、後遺障害診断書などの書類を用意する必要がありますし、専門的な知識も必要になりますので、積極的に弁護士に相談しましょう。
後遺症に限らず、交通事故によって負傷し、不安に感じておられる方は、弁護士法人琥珀法律事務所にご相談ください。琥珀法律事務所は、交通事故問題への対応を得意としています。後遺障害の等級認定に関するノウハウを活かし、さまざまなお悩みや困りごとを解決することが可能です。
琥珀法律事務所では、交通事故に関する
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【経歴】
2008年 | 弁護士登録 |
2010年 | 主に労働事件を扱う法律事務所に入所 |
2011年 | 刑事事件、労働事件について多数の実績をあげる |
2012年 | 琥珀法律事務所開設東村山市役所法律相談担当 |
2014年 | 青梅市役所法律相談担当 |
2015年 | 弁護士法人化 代表弁護士に就任 |
2022年 | 賃貸不動産経営管理士試験 合格 2級FP技能検定 合格 宅地建物取引士試験 合格 |
2024年 | 保育士試験 合格 (令和5年後期試験) 競売不動産取扱主任者試験 合格(2023年度試験) |
【その他のWeb活動】
- ブログ:弁護士川浪芳聖の「虎穴に入らず虎子を得る。」
- Facebook:川浪 芳聖のフェイスブックページ