レンタカーで事故に遭ったら?保険の注意点や対応方法を紹介

レンタカーで事故に遭ったら?保険の注意点や対応方法を紹介

レンタカーを運転中に事故を起こしてしまったとき、または、追突事故に巻き込まれてしまったとき、補償を受けることができるのか、心配に思う方は一定数おられるのではないでしょうか。

レンタカーを運転中に事故を起こしてしまったときは、基本的にレンタカー会社の加入する自動車保険から補償を受けることが可能です。一方、レンタカーを運転中に事故に巻き込まれてしまったとき(事故について過失がないとき)は、加害者側の保険会社と示談交渉をして慰謝料等の支払いを求めていくことになります。

この記事では、レンタカーで事故を起こしたときの対応手順と、レンタカー会社の保険の内容、追突事故などに巻き込まれたときの対処法をご紹介します。

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この記事の監修者

弁護士:川浪 芳聖(かわなみ よしのり)

弁護士法人琥珀法律事務所 代表弁護士
所属:第一東京弁護士会

レンタカーで事故に遭ったらレンタカーの保険を使うのが基本

レンタカーはレンタカー会社が任意保険に加入していますので、事故に遭ったときも基本的には、レンタカー会社の加入する任意保険を使用して解決を図ることになります。なお、自身の自動車保険の任意保険で「他車運転特約」を付けている場合には、レンタカーの事故であっても自身の加入する任意保険を使用することができます。

レンタカー会社の保険内容

レンタカーを運転中に事故を起こしてしまったときは、基本的にレンタカー会社の加入する保険を使うことができます。補償内容の詳細はレンタカー会社ごとに異なるものの、一般的には以下の保険に加入しています。

保険の種類補償内容
対人賠償保険他者に怪我を負わせたり死亡させたりしたときに、
自賠責保険の限度額を超える損害賠償金に対し、保険金が支払われます。
対物賠償保険他者の車や家の壁など、モノを壊し損害賠償責任を負ったときに補償されます。
車両保険レンタカーに損害が生じたときに、修理費用などが補償されます。
人身傷害保険レンタカーの搭乗者がケガをしたときに、搭乗者の治療費や休業期間の収入などが補償されます。

自分の保険を利用できるケース

自身の加入する自動車保険の任意保険に、「他車運転特約」が付いていると、レンタカーを運転中の事故であっても自身の任意保険を利用できます。他車運転特約とは、他者の車を運転しているときに起こした事故でも、自身の任意保険から補償を受けることができるというものです。

レンタカーの保険が使えない場合でも、上記特約を付けていれば補償を受けることができますので安心です。ただし、他車運転特約も駐車中に車をぶつけられたときには使えないなど、使用条件がありますので、事前に確認しましょう。

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レンタカー運転中に事故を起こした場合の対応手順

レンタカーで事故に遭ったら?保険の注意点や対応方法を紹介

レンタカーであっても、交通事故を起こしたときは負傷者の救助、安全確保、警察への連絡が法律上義務付けられています。あわせて、レンタカー会社に対しても、速やかに連絡して、報告しましょう。もし、自身や搭乗者が怪我をしているときは、速やかに病院を受診するようにしましょう。

安全を確保する

レンタカーであっても自家用車と同様に、交通事故を起こしたときに真っ先に行うことは負傷者の救護と安全確保です。負傷者を安全な場所に移動した上で119番通報をするなど、救護活動をしましょう。

次に、後続車の二次被害を防止するために、レンタカーを安全な場所に移動し、可能な限り、事故によって飛散した部品等を回収しましょう。損傷が激しくてレンタカーを動かすことができないときは、三角表示板などの目立つものをレンタカーの後方に置くなどして、後続車に危険を知らせましょう。

警察へ連絡する

交通事故を起こしたときは、人身事故か物損事故かにかかわらず警察へ届け出る義務があります(道路交通法第72条1項)。届け出なかった場合、道路交通法違反により罰則を受けるだけでなく、「交通事故証明書」が発行されなかったり、レンタカー会社による補償に影響することがありますので、注意しましょう。

なお、警察には事故状況の説明も必要です。以下の内容を聞かれることが多いため、事前にまとめておくとよいでしょう。当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置

  • 事故の発生日時と場所
  • 負傷者の人数
  • 負傷者の負傷の程度
  • 負傷者の氏名や住所
  • 損壊した物の有無、種類と損壊の程度
  • レンタカーの積載物
  • 交通事故後に行った安全措置

レンタカー会社へ連絡する

警察への連絡が済んだら、レンタカー会社にも連絡して事故を報告します。事故発生時専用の受け付けダイヤルが設定されていることが多いので、同ダイヤルに電話しましょう。それがわからない場合には、出発店舗に連絡しましょう。

連絡すると、事故状況について確認され、また、レンタカー会社が加入している保険の利用方法を説明されますので、その指示に従いましょう。

負傷したときは病院を受診する

事故で負傷した場合、治療費や慰謝料等の賠償金を請求するためには、医師の作成した診断書で事故と怪我の因果関係を立証しなければいけません。受診までに時間を要した場合(例えば、事故発生日から2週間後に受診した場合など)、交通事故と怪我の因果関係が不明瞭になり、事後的に加害者との紛争に発展するおそれがあります。

そのため、交通事故によって負傷したときは後回しにせず、速やかに病院を受診しましょう。旅行先で事故に遭った場合、いったん近くの病院を受診し、後日、自宅近くの病院に通院先を変更でするのがよいでしょう。なお、交通事故では、事故直後には痛みを感じなくても後になって痛みを感じたり、事後的に骨折等の怪我が判明するケースもありますので、少しでも違和感や痛みがある場合には、念のために病院を受診しておくのが安心だと思います。

レンタカーの保険では事故のすべては補償されない?

レンタカー会社の加入する保険の多くは、自己負担額に相当する免責金額が設定されています。また、事故によりレンタカーを利用できないことでレンタカー会社に生じた損害は、保険で補償されません。契約違反時には保険を利用できないことにも注意が必要です。

免責金額が設定されている

レンタカー会社で加入する自動車保険の多くは、5万円程度の免責金額が設定されています。免責金額とは、保険を利用したときの自己負担額のことです。

例えば免責金額が5万円、修理費用が50万円であれば、45万円は保険金で支払われるものの、5万円はレンタカーの利用者が支払わなければなりません。

なお、多くのレンタカー会社では、利用者の免責金額をゼロ円にできる「免責補償制度(CDW)」を有料オプションとして設定しています。費用は1日あたり1,000~2,000円程度で、利用には年齢などの条件が設けられていることもあります。

休車損害は補償されない

休車損害とは、事故により営業車両を稼働できないことで得られなくなってしまった利益のことです。営業車両は許可を得たものしか利用できませんので、レンタカーで事故を起こしてしまい、修理等のためにその車両を使用できなくなったときは、その分売上が減ってしまいます。

レンタカー会社で加入する保険は、他者や利用者の損害に対する補償であり、レンタカー会社自体の損害を補償する保険は含まれていません。そのため、休車損害が生じたときは利用料や免責金額とは別に「ノンオペレーションチャージ(NOC)」の支払いが必要です。

金額は、走行可能であれば2万円程度、走行不可能であれば5万円程度です。なお、NOCにも支払いを免除する有料オプションがありますので、利用されると安心です。

補償の対象外となるケースが設定されている

レンタカー会社で保険に加入していても、すべての事故が補償される訳ではありません。具体的には以下のような行為や事故は補償対象外です。

  • 無免許や飲酒運転による事故
  • 契約者以外が運転して起こした事故
  • 借受期間を無断延滞して起こした事故
  • 事故後に警察やレンタカー会社に連絡を怠ったとき
  • その他、レンタル契約に違反したとき

これらの行為に該当し保険が利用できない場合、生じた損害は利用者が全額負担するため注意が必要です。

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レンタカーの事故や保険について事前に確認すべきポイント

レンタカーを借りるときは、レンタカー会社が加入する自動車保険の補償内容を確認しましょう。補償の程度はそれぞれのレンタカー会社ごとに異なります。また、出発前にレンタカーの車体についた傷や凹みを確認し、返却後の不要なトラブルを避けることも大切です。

レンタカー会社の保険内容をチェックする

レンタカー事業を行うためには国土交通省の許可が必要であり、審査基準の中には「十分な補償を行う自動車保険への加入」があります。そのため、レンタカーの保険でも以下は補償されます。

  • 対人賠償:1人あたり8,000万円以上
  • 対物賠償:1人あたり200万円以上
  • 搭乗者補償:1人あたり500万円以上

なお、多くのレンタカー会社は、対人賠償と対物賠償を無制限に設定していますが、レンタカー会社によっては対物賠償が無制限でないなど差がありますので、利用する前に内容を確認しましょう。

レンタカーの状況を確認する

レンタカーに傷を付けたときは、利用者が修理費用を支払うことになります。そのため、出発前には利用するレンタカーに傷や凹みがないかをスタッフと共に確認し、返却後に不要な費用などを請求されないようにしましょう。確認中に傷を見つけたら、必ずスタッフに報告しましょう。

多くのレンタカー会社では出発前にスタッフとチェックを行います。行われない場合はスタッフが失念している可能性が高いので、声をかけて確認しましょう。

レンタカーで追突事故などに遭ったらどうする?

レンタカーを運転中に追突事故などに遭ったときは、加害者の氏名や住所などを確認し、警察とレンタカー会社に連絡しましょう。加害者に対しては治療費の他、慰謝料や休業損害等も請求できます。なお、訪日外国人の運転するレンタカーに追突されたときも、国内で起きた事故に対しては日本の法律が適用されますので、安心してください。

レンタカーで被害事故に遭ったときの対応

レンタカー乗車中に他の車に追突されるなどの事故に遭遇したときは、以下の流れで対応します。

  • 加害者と連絡先の交換をする
  • 警察に連絡する
  • レンタカー会社に連絡する
  • (怪我をしたときは)病院を受診する

被害事故に遭って負傷したときは、治療費や慰謝料を加害者の任意保険会社に請求できます。また、レンタカーの利用者に免責金額とNOCが生じたときは、これらの費用も適切な範囲で加害者に対して請求できます。事故後にこれらを円滑に請求するためにも、加害者の連絡先を必ず確認しておきましょう。

なお、被害事故では、レンタカー会社に連絡して車両をどうすればよいか確認します。事故内容によっては人身傷害保険を使えることもありますので、忘れずに確認しましょう。

外国人が運転するレンタカーとの事故が発生したときの対応

観光に来た外国人の運転するレンタカーと事故が発生したときも、基本的には日本人同士の事故と同様に処理を進めます。相手の氏名とレンタカー会社を確認し、警察と自身が利用しているレンタカー会社に連絡しましょう。

外国人が運転するレンタカーであっても、日本国内で起こった交通事故であれば、日本の法律に基づいて損害賠償請求を行えます。また、レンタカーであれば、加害者側のレンタカー会社の保険会社に対して、損害賠償の請求が可能です。

レンタカー事故が発生したら弁護士に相談すべき

レンタカーで交通事故に巻き込まれたときは、一人で解決しようとせず、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に依頼した場合、適切な慰謝料や休業損害を計算できるだけでなく、加害者側保険会社との示談交渉を一任できますので、精神的・時間的負担の軽減にも役立ちます。さらに、事件の解決までに、弁護士から適宜、効果的な助言を受けることが可能になります。

適正な慰謝料を請求できる

交通事故の慰謝料の算定基準には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判基準)」の3つがあります。これら3つの基準のうち、裁判実務に近く、慰謝料が最も高額になりやすいのは弁護士基準です。

レンタカー事故が発生して負傷したとき、治療終了後(症状固定後)に相手方の任意保険会社から示談案を提案されますが、多くの場合、慰謝料は任意保険基準で算定されています。

弁護士に依頼すれば、弁護士基準で算定した慰謝料を前提に、相手方の保険会社と示談交渉を進めますので、被害者個人で交渉を進めるときよりも高額の示談金を確保しやすくなる傾向にあります。

保険会社との示談交渉を一任できる

相手方の保険会社との示談交渉を弁護士に一任できる点も、弁護士依頼のメリットです。弁護士に依頼しない場合、交通事故の被害者は、怪我や精神的苦痛が癒えず、不安な状態で、示談交渉に自ら対応しなければいけません。さらに、示談交渉のやり取りは日中に電話で行われることが多いので、仕事や家事・育児の合間をぬって時間を捻出する必要があります。

ときには、相手方の保険会社の担当者から、心ない言葉を浴びせられて傷づくことも皆無ではありません。弁護士に依頼すれば、このような示談交渉の時間的、精神的負担を減らすことが可能になります。

治療等に関するアドバイスを受けることができる

交通事故によって負傷した場合、通院の頻度や通院日数、通院期間は、慰謝料を請求するにあたって重要な根拠になります。例えば、極端に通院日数が少ないと怪我の程度を過小評価され、慰謝料の減額を主張されることがありますし、他方で、通院期間が長期に及び、通院頻度も高いと過剰診療と評価されることもあります。

弁護士であれば、事故の損傷状況や負傷状況を踏まえて、適切な賠償金を確保するために必要な助言を行うことが可能です。また、不幸にも後遺障害が残存してしまった場合についても、必要な検査項目などを的確に伝えて、後遺障害等級認定の申請を円滑に行うことができます。

まとめ

レンタカー乗車中に事故を起こしたときは、基本的にレンタカー会社が加入する保険を使用します。ただし、保険の内容は、レンタカー会社ごとに違いがあり、補償が不十分なこともありますので、事前に確認しましょう。

なお、レンタカーを運転中に追突されるなど、事故の被害者になったときは加害者側の任意保険会社と示談交渉を行うことになります。交渉には事故に関する専門的知識と時間が必要ですので、十分な補償を得るためにも、交通事故に遭ったときは、専門的な示談交渉ができる弁護士に相談しましょう。

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この記事の監修者

弁護士:川浪 芳聖(かわなみ よしのり)

弁護士法人琥珀法律事務所 代表弁護士
所属:第一東京弁護士会

【経歴】

2008年弁護士登録
2010年主に労働事件を扱う法律事務所に入所
2011年刑事事件、労働事件について多数の実績をあげる
2012年琥珀法律事務所開設東村山市役所法律相談担当
2014年青梅市役所法律相談担当
2015年弁護士法人化 代表弁護士に就任
2022年賃貸不動産経営管理士試験 合格
2級FP技能検定 合格
宅地建物取引士試験 合格
2024年保育士試験 合格 (令和5年後期試験)
競売不動産取扱主任者試験 合格(2023年度試験)

【その他のWeb活動】